Cheer Up
ポンポンとともに青春第2幕
グランチアを指導する太刀山美樹さんは、株式会社MIKI・ファニットの代表を務め、0歳から84歳までが活動する運動・学習教室を運営している。ある時、既存の運動教室で、チア体験を行ったところ、かつてないほど盛り上がったそうです。参加者の70歳代の女性が「先生、久しぶりにこんなに笑ったわぁ。いつも家で電子レンジとしか話さないから」と打ち明けてくれた。そこで、「シニア世代が明るく元気になれる場所を作りたいー」と感じたのが、「グランチア」を発足させるきっかけとなった。
チームのロゴは、アメリカのスーパーヒーロー、キャプテン・アメリカの盾をイメージして作った。発表会は「学園祭」と呼ぶ。2020年には、オンラインで、アフリカ・ルワンダと福岡をつなぎ「レッツゴー・ルワンダ!」と現地の子供たちと母親を応援する企画を実現した。
2019年には、地元KBCテレビの企画で、福岡ソフトバンクホークスの優勝パレードを沿道で盛り上げた。太刀山さんは「博多の街が最高に盛り上がるイベントを、(グランチアが)さらにチアアップできた喜びがありました」と振り返った。
福岡市内で開催された、定年後の男性の再就職セミナーにも出演した。「人生今から色づいていく」と話す、坂本幸代(さちよ)さん<チアネーム=もみじさん>(84)は、「しょげとったらいかんよ!一緒に元気ば出しましょう!」と会場を盛り上げた。参加者からは「諦めとっちゃいかんですね」との言葉が返ってきた。
ステージを見に来たメンバーの娘からは「お母さんの頑張っている姿を見て、私も頑張れる」。介護中のメンバーの母親からは「自分の介護はいいから(練習に)行っておいで」など、さまざまな言葉が返ってきた。
太刀山さんは「多世代交流が大切と思っています。グランチアの演技を見て、お母さん世代や孫世代が抱えている悩みがちっぽけになってほしい。そして、メンバーには、人の役に立てていることを感じてほしい。この歳で新しい挑戦をすること自体がすごい。『できた』ではなく、『できたような気がする』を大切にしています。また『忘れるのはお仕事です』とも伝えています」
ガン治療のため、病室にポンポン持って入院したメンバーもいたそうだ。病室でポンポンを振っている姿を見た同室の患者さんが“なんでそんなに元気なの?”と尋ねると、“周りを応援したいから。自分も元気になれるから。私には帰る場所(グランチア)があるから。”と話したという。
「棺おけにはポンポンを周りに置いて、出棺の時には、みんなで踊って見送ってほしい!」「年とって若い人の世話になるのでなくて、私たちが次世代のお母さんと子供を応援しちゃるけん!」和気あいあいと話すメンバーを見て、太刀山さんは「50代からの青春第2幕ですね」とほほえんだ。
◆Grand Cheer(グランチア)2017年創設。50代からのチアダンスチーム。現在は、福岡県内に7クラスを開校し、50代から84才までの約60人が活動している。HPは、https://grandhub.info/